地域の方たちと接しているから、
笑働の役割が実感できる。

大阪府鳳土木事務所 建設課 和泉工区 主査

佐々木 清 さん

「一緒にやる」という働き方は、
10年前から変わらない。

鳳土木事務所は、大阪府内を七つに分けたエリアの泉北地域にあります。堺市から和泉市、泉北の忠岡、泉大津市や高石市というエリアが管轄です。業務は、新設道路の建設、改良事業もありますし、河川や公園の維持管理、道路のメンテナンスなどをおこなっています。僕自身は、現場に行って地元の方々と、お話し合いをしていることが、ほとんどですね。10年前に導入されたアドプトプログラムは、「笑働」という言葉になって、ずいぶん説明がしやすくなったなと感じています。漢字ということや笑顔のマークによって、親しみやすくなったと思います。

小河副知事001

現場で地域の方々と一緒に活動をするという仕事は、今までやってきたことの積み重ねなので、仕事内容の違いは特に感じていません。僕は、維持管理課というところから入って、恊働を体験する機会が多かったので、笑働を、よりリアルに実感できていると思います。

10年前、維持管理課で道路のメンテナンスを担当していた時期に、国道480号の清掃活動について、南横山校区の連合町会長さんと話をする機会がありました。その時に「地域でできることは、自分たちでやりたい」という要望があったんです。だけど、地元の住人たちだけでは、どうしても手が出せない、やっぱり規制が必要な部分もあると・・・。
そういう声を受けて、「それだったら、行政が入っていけば解決できますね」ということになりました。それで「一緒にやりましょう!! 一気に町内全域で掃除しましょう」ということで、みなさんと盛り上がって「国道480号リフレッシュ活動」がスタートしました。元々は南横山というところにある、三つの町会だけだったんですけど、活動を見て、隣の町会さんに「良いな、おもしろい!」と言っていただき、その町会さんに声をかけていって、年々、参加者が増えていきました。当初は150人程度でしたが、段々と広がっていって、現在では500人を超える規模で、もう、お祭りというか、イベントになってきています。

小河副知事002

活動していただいているのは地域の方ばかりで、地元企業の方々も、たくさん参加されています。建設業が多い地域ということもあり、トラックやダンプ、重機などを貸し出してくれる企業とか・・・一丸となって取り組んでくださっています。作業内容や行程を決めるのも、地元の方々が中心。一年、二年と続けていくうちに、そうなってきました。この地域も、やはり高齢化は進んでいますが、若い方もたくさん集まってくれて、山頂部などは、かなりきついのですが、ドロドロになりながらも、楽しそうに参加されてるんですよね。みなさんの姿を見ていたら「一緒にがんばりたい!!」と、素直に思えるんです。僕は、みんなで成し遂げるというのが、すきなんです。そういう性分なんですかね(笑)。府民と行政がつながるというのは、人と人がつながるということ。すごくあたりまえだけど、ぜったい忘れてはいけない、大切なことだなと思います。

それぞれの地域の想いを
強いネットワークにしたい。

アドプトプログラムの導入から10年という節目を迎える頃、長く続けておられる各アドプト団体の方々から、「自分たちの活動を知ってもらい、もっと、たくさんの人たちが関心をもってくれたらいいな」という声を聞くようになりました。継続をしていく上で、活動自体が、もっと魅力的で参加意欲につながるような、そんな「場づくり」や「情報発信」ができる仕組みをつくる必要があるなと考え、「泉北笑働ねっと」を立ち上げました。泉北地域で活動をされている、様々なアドプト団体や、美化制度を積極的に実施されている堺市や和泉市といった地元市にも声をかけて集まっていただいて、まずは地域連携でイベントを行うところからスタートしました。 今は、各アドプト団体が抱えている様々な問題点を洗い出し、情報を共有していくための定例幹事会を行っています。

小河副知事003

みなさん、「地域をきれいにしよう、豊かにしていこう」という想いは同じなのですが、個々の活動内容、やりがいは、やはり少しずつ違うんですね。例えば、花を植えて美化活動に力を入れているところがあれば、道路や河川の清掃を中心に活動されているところもある。泉北笑働ねっとでは、それぞれの個性を大切にしながら、それらを地域全体で連携させていき、より強く、広く、つなげていくことができればいいなと考えています。 まさに、笑働のコンセプトでもある「点を線に、線を面に!」ですね。

みなさんと一緒に、森をつくる。
ほんとうに楽しいです。

和泉市で行っている「槇尾・笑働の森」は、槇尾川流域の森を再生させ、あたらしいコミュニティをつくっていくプロジェクトです。建設が中止となった槇尾川ダムに代わる治水対策として、河川改修や森の保水能力向上に取り組みながら、一方では、単に治水のためではなく「美しく、人が集まり、楽しめる森をつくりたい」という地元の方々の想いをかたちにしていくということを目標に取り組んでいます。地元の方々の意見や要望をお聞きし、情報交換を行うための勉強会や、月に一回は、町会長さんと消防団の方々を中心としたボランティアのみなさん、桃山学院大学の学生さん、間伐指導をしていただく方々といったメンバーで森に入っています。間伐から清掃など、みなさん「自分たちのこと」として活動に参加されています。すごい「力」だなと思います。私たち行政も、しっかりサポートしていかないといけないな、と日々痛感しています。

森を再生させるための植樹をするには、遺伝子の撹乱を防ぐために、外から樹を持ってくるのではなく、その地域の樹枝から種を取り、それを育てた苗を植えていくのが最適なんですね。そうすることで、森が強く、豊かになっていく。森づくりには、ものすごく、手間と時間がかかりますが、地元の方たちと、どんぐりを拾いに行ったり、四季折々の花が咲いている景色を想像したり、訪れる人たちの笑顔を想い描いたり・・・。地元の方たちと一緒に、桜祭りや紅葉祭りも、ぜひ復活させたいなと盛り上がっているんですよ。夢が膨らんで、ほんとうに楽しい。

森、川、海のすべてをつなげて、
「まちづくり」に取り組みたい。

今後、「槇尾・笑働の森」プロジェクトは、先の泉北笑働ねっととの連携を強固にしていきたいと考えています。森・川・海をつなげるという構想のもと、槇尾川から大津川を経て大阪湾といった、大津川水系で活動をされている地域活動団体のすべての方々に、「一緒に森づくりをしませんか」と呼びかけていき、泉北全域が、森づくりを軸とした「まちづくり」に発展していけばいいなと思います。今、大阪湾で漁業に従事されている方は、川の上流部から流れ出るゴミの問題で、すごく困っておらます。森で捨てられたゴミが川に流れて、それが海に流れ着き、大雨になると船が出せないぐらいになってしまう。

小河副知事003

せっかく森が完成しても、地域全体に影響が出てしまうようなことになると意味がないですから、森、川、海、それぞれがお互いの立場や情報を知っておくことと、泉北地域全体を俯瞰で見る視点が大切だと考えています。そうやって、一歩ずつ、みなさんと一緒に取り組んでいけば、きっと、「愛着が持てる、豊かなまち」が生まれると確信しています。

僕にとっての笑働は、「一緒に楽しむ」という気持ち。森やまちをつくるのは、ものすごい時間とパワーが必要です。その仕事を継続していけるのは、やっぱり、自分が楽しいと感じることができるからだと思います。その原動力は、夢中で働いている時、府民の方に「ありがとう」と声をかけられること。 がんばって良かったなと感じる瞬間ですね。でも、もっと大切なことは、がんばっておられる府民の方々に、心から感謝できる自分自身の成長だと思っています。

(取材日:H24.12)