2019-01-13

「森」がそばにある日常をつくる

大阪府和泉市にある槇尾山。

泉北高速鉄道の和泉中央駅から南へ車を20分ほど走らせると、緑に溢れた槇尾の森が目の前に広がります。

この森の中で、人と森の新しい関係を模索する活動が始まっています。

槇尾の森で展開されている「笑働の森づくり」では、地域住民、行政だけではなく学生たちが森の課題を解決するために参画しています。

今回は「笑働の森づくり」に参加する学生のみなさんに、参加する理由、笑働の森づくりが目指すものについてお話をうかがいました。

和泉市の南部に位置する槇尾山(提供:笑働の森づくり)

ー笑働の森づくりとは?

大阪府、和泉市内外の府民、学生が協働してこれからの森を守り、育てていくための「森の担い手」を発掘、育成していく活動です。

森の担い手とは、間伐や植林などの森林整備を通して環境を整えたり、森の資源を利用する人、森と自分たちの生活を考える人などを指します。

活動のコンセプトとして「森をつくる」、「森をつかう」、「森を見直す」を掲げています。植林や間伐など森の環境を整え、健康な森をつくる取り組み。

間伐材でベンチやテーブル、生活雑貨を作る体験を通して、森の資源で楽しむ価値観を子どもたちを中心に伝えること。

私たちのような地域の外から来た人の視点だからこそできる槇尾の森の魅力や課題を発見するフィールドワークといった活動を定期的に実施しています。

ー活動の背景は

元々、槇尾山には槇尾川の治水のため、ダム建設が計画されていました。

しかし時代が変わり、2011年にダムに依らない治水へと方針転換され、ダム建設は中止になることに。

ダム建設予定地である槇尾の森は既に大阪府によって買収された後でした。

建設中止となった土地を、府民の交流の場として活用したいという思いがきっかけとなり、2012年から「笑働の森づくり」が始まりました。

ー学生が関わる理由は?

一緒に活動している行政、地元の方々が優しく受け入れてくださり、学生が主体となって活動できるところが魅力ですね。

これまでいろいろな取り組みをしてきましたが、ほとんど学生が考えて企画してきたものです。

今の大学生、高専生のメンバーは、まちづくりや林業、農業などの分野に興味を持って参加しています。

森を活用しながら自分の関心があるものに挑戦することができることにやりがいを感じている人が多いです。

新しいことに挑戦しようとする時に、周りの方々がサポートしてくださる環境も魅力の1つだと思います。

「笑働の森づくり」に参加する学生、行政、地元住民たち(提供:笑働の森づくり)

ー笑働の森づくりが目指すことは?

「生活に密着した森」をつくっていきたいです。

もともと僕たちは森の恩恵を受けて生活が成立していました。

一方で、近代化が進んで、利便性や必要性が駅前に集中したりと、人工的な建物に頼ることが多くなってしまいました。

だからと言って森を見捨てるわけにはいかず、まちを考える時、森の将来も考えなければいけません。
森があることによって生活が豊かになる森を目指しています。

森で伐採した間伐材で作った椅子などの生活品や、森で採れた食材が市街地の人に届くようになれば、生活の一部に槇尾の森を感じてもらえるようになります。

昔の自然と人との関係を、取り戻すことは難しいかもしれませんが、現代にあった森と人との関係をつくっていきたいです。

●お知らせ
笑働の森づくりでは、活動に参加したいメンバーを募集しています。
まちづくりや、農業、林業などに興味のある学生、社会人の方々で一度参加してみたいという方は、下記のメールアドレスからご連絡ください。
shodonomori.makio@gmail.com

テキスト:古江 晃也